報道などで、日本を取り巻く核ミサイルの脅威に危機感を募らせる方が増えています。しかし、「核ミサイルに対しどのように備えるか?」という具体的な対策が示されることはあまりないのが現状です。

インターネットなどで、「日本では官民問わず、核ミサイルに対しあまりにも脆弱である」と知るとますます不安になる方もいるでしょう。「諸外国の核ミサイル対策はどうなっているのか?」という疑問も浮かんでくるでしょう。

今回の記事では、核ミサイル対策で「先進国」の1つと言えるスウェーデンにおける核シェルターの実態についてご紹介します。

1.スウェーデンにおける核シェルター普及率

世界の主要な国の核シェルター普及率は次のようになっています。

<人口あたりの核シェルター普及率>
スイス    100%
イスラエル  100%
ノルウェー  98%
アメリカ   82%
スウェーデン 81%
ロシア    78%
イギリス   67%
シンガポール 54%
日本     0.02%

スウェーデンの人口は約908万人です。一方、核シェルターは720万人分建設されており、全人口の81%に相当します。一方、日本は被爆国であり北朝鮮などの核ミサイルの危機に直面しているにも関わらず、核シェルターの普及はまだまだ進んでいません。

 

2.核シェルターの建設はソ連に対抗するのが目的だった。

スウェーデンは元々軍事的には中立的な立場でしたが1992年に中立政策を放棄しました。現在もNATOには加盟していないものの、1995年にNATOによるボスニア派遣に参加しました。

スウェーデンが核シェルターの建設を本格的に行ったのは、ソ連に対抗するためでした。

1952年のソ連によるスウェーデン機撃墜(カタリナ事件)、1981年のソ連潜水艦の領海侵犯と座礁事故(ウィスキー・オン・ザ・ロック )など、スウェーデンは常にソ連からの圧迫を受けてきたおり、ソ連がロシアに変わった現在でも基本的には何ら変わりがありません。

また、2016年にNATOが、ロシア空軍がスウェーデンへの核攻撃を想定した軍事演習を行なっていると報告したのも緊張感が高まる原因にもなっています。

そのためスウェーデン政府は全世帯に「戦争になったら」というパンフレットを配布し始め、国民に有事にどのように備えればいいかと呼びかけました。

 

3.法整備をし、全国各地に核シェルターを建設。

スウェーデンは建築基準法を制定し、核シェルターを設置する際の基準を設けました。また国内の多くのビルには地下にシェルターを設置しています。地下には避難生活には欠かせない上下水道、自家発電、簡易トイレを設置しています。

また学校や図書館、美術館など公共施設にも核シェルターがあります。公共施設だけでなく、各家庭には家庭用のシェルターがあり、平時は物置として利用しています。

官民問わず、核ミサイルの攻撃に対する備えが行き渡っているのが特徴です。

 

<有事に備え、できることから始めるのが重要となる>

今回ご紹介したスウェーデンに限らず、先進国では核シェルターの普及が進んでいます。歴史的に何度も周辺諸国の圧迫を受け、常に危機感を持っているためです。法整備だけでなく、核シェルターの建設、避難訓練、ガイドブックなどによる啓蒙活動なども行われています。

一方、日本では諸外国に比べ核シェルターの建設は進んでいません。しかし、日本にも核シェルターの輸入・販売・建設を一手に行う企業が存在し、予算や核攻撃に対する防御の程度に応じて購入できる環境があります。

また、核シェルターを持たないまたは持っていても、外出中に核ミサイルが飛来した際には頑丈な建物の地下へ避難するなど、民間人が行える対策はあります。重要なことは「普段から危機感を持ち、有事の際はどう行動するかを考えておく」ことです。

今回の記事を読んで、スウェーデンにおける核シェルターの実態について知っていただけたらと思います。