日本は世界で唯一の被爆国です。1945年、アメリカの爆撃機から投下された原子爆弾により多くの人々が殺傷され、広島・長崎の市街地も一瞬にして破壊されました。日本は核兵器の恐ろしさを身をもって知ることになりました。

戦後70年以上が経過した今、当時のことを知る方が徐々に減少しています。冷戦時代から核兵器は「互いににらみ合い、攻撃をしかけられないための兵器」へと変遷していきました。

しかし、北朝鮮による核開発と挑発的な言動は日本にとって現実的な脅威となっています。そのため、官民が連携した核ミサイルへの対策が急がれるものの諸外国に比べ不十分であるのが現状です。

一般市民の核対策として自宅に核シェルターを設置することが挙げられます。様々な国で核シェルターが開発されています。

今回の記事では核シェルターの世界基準となっているスイス製の性能についてご紹介します。

 

1.核ミサイルの爆発力に耐えうる性能とは?

核ミサイルの人体や建物に与える脅威の1つに「爆風」があります。核ミサイルは世界中に様々なタイプがあり、破壊力なども異なります。

スイスは永世中立国のため、いかなる国とも同盟は結ばず全て自国で防衛しなければなりません。その対策の一環として、統一の基準に対応した核シェルターをスイス全土の家庭に設置するように義務付けたのです。基準が厳しいからこそ世界中の多くの国が参考にしたとも言えます。

この章では、スイス製の核シェルターの性能についてご紹介します。

 

1.1 防爆性能を有している。

スイスの核シェルターの防爆基準は、「1メガトン(広島・長崎に投下された原子爆弾の50倍)の核ミサイルが着弾した場合、1㎡あたり10トンの防爆力があり、爆心地から2.6km以遠では安全でなければならない」とされています。核シェルターは鉄筋コンクリート造りで、入口ドアの厚みは200㎜以上と銀行の金庫のような堅牢さです。

核ミサイルの恐ろしさは爆発力だけではありません。スイス製の基準では超高温熱光線に耐えなければならないとされています。この熱光線に耐えることで核シェルターを火災から守ります。

1.2 人体に悪影響を及ぼす物質を遮断する構造になっている。

核ミサイルの恐ろしさは爆風や熱光線だけではありません。人体に重大な影響を及ぼす物質も広範囲に及ぶことも考えられます。

まず挙げられるのが放射性物質です。スイスの基準では放射能ガンマ線を100分の1(外部の場合2日後に下がるレベル)にしなければなりません。また、放射性物質以外にも毒ガスやウイルスなどの細菌・化学兵器による攻撃も想定されます。そのため、核ミサイルによる攻撃だけでなくテロ攻撃にも有効です。

これらの有害物質を遮断するために特殊な空気清浄機が備えつけられます。この空気清浄機は地下室だけでなくマンション・一戸建て・オフィスや倉庫などにも設置可能で、一般に「家庭用核シェルター」と呼ばれています。

スイス製の空気清浄機は、モーターで外気を取りこむ際に特殊なフィルターで有害物質を遮断します。そうすることで室内の空気圧が高まり、室内から室外への一方向への空気の流れが生まれる仕組みになっています。

2.核シェルター内部で過ごすために準備するべきものとは?

スイス製の核シェルターの販売・施工を行う企業によると、内部では2週間以上過ごすための準備をした方が良いと推奨しています。その根拠は放射能ガンマ線の量が2週間で1000分の1になるためです。

水や食料品は勿論、長期戦を覚悟してあらゆる生活必需品を用意する必要があります。情報収集するためのラジオやテレビなども必要でしょう。また、避難する方の人数や子供の有無などにより必要な物や量も異なります。

核シェルターのメンテナンスもしなければなりません。空気清浄機のフィルターは湿気を含むと効果が薄れます。そのため地下用の場合1年に1回、地上用でも2年に1回は交換する必要があります。

<核シェルターはあらゆる自然災害にも対応できる優れた性能をもつ>

スイス製の核シェルターの基準は大変厳しく、そのため世界の核シェルターの基準とされてきました。核シェルターは核攻撃による被害から大切な家族や財産を守ることができます。自然災害にも強く耐火性に優れているため、阪神淡路大震災では周りが大きな被害を受けた中ほとんど被害がなかった方もいます。

日本で核シェルターの販売・施工を行う会社はいくつかありますが、モデルルームを所有する所もあります。空気清浄機のみの家庭用核シェルターなら車1台分の値段ですが、核シェルターとなると一戸建て1件分の値段になることもあります。

事前に販売会社と核シェルターをどのように施工し、期間や金額がどの程度かかるかを十分打ち合わせするのが賢明です。

今回の記事を読んで、スイス製の核シェルターの性能について理解が深まればと思います。